こんちは!
今日めちゃくちゃ寒いっすね。15度とかでしたよ。あれそれ昨日か。早く夏が始まってほしいような、でも猛暑の夏は嫌なような、そんな気持ちな最近です。
梅雨が終わって夏がこれから始まるぞーっていうあの時期が一年の中で一番好きかもしれないですね。でも梅雨はとにかく嫌です。前髪が終わるので。
そんなこんなで今回読んだ本は、ていうかさっき読み終えた本なんですが、
夏川草介さんの「エピクロスの処方箋」です。
これはこの前の本屋大賞にもノミネートしている作品でした。姉の夫がお勧めしてくれてそれなら読むかって言って借りて読みました。
確かですが、めちゃ前に神様のカルテっていう作品を読んだことがある気がするんですよね。それもこの作者さんの本で、作者自体もお医者さんっていうことで解像度の高い医療系小説を書かれている方です。

この作品実はシリーズものらしいんですが、全然この本単体でも読めちゃいました。
面白かったですよ!
簡単にテーマをいうと医療とは何か。命を救うだけなのか、医療において生と死の2元論以外の考え方はないのか。などがテーマかなと思います。
タイトルにもあるエピクロスは古代ギリシャの哲学者らしいんですが、快楽主義を提唱しましたがそれは一時的な享楽ではなく、苦痛のない心身の平静を意味します。質素で節度ある生活を通じて幸福を追求したとのことです。
この考え方は作中にも登場しています。平穏こそ幸福である、と。私はこの考え方に強く共感します。人生刺激があった方が楽しいだの、つまらない人生は嫌だの、生きている心地がしないだの、そういう過激派はもちろんいますし、否定しません。そういう人がいてこそのこの世だと思います。でも私は平穏が一番。健康で大切な人と一緒に過ごせて、そういう日々が安定的に続くこと。それが一番の幸せだと考えています。そういう観点で、エピクロスと同じ快楽主義なのかもしれません。
長くなりましたが、内容に入ります。
この作品は主人公の原田病院という地域の小さな病院に勤める哲郎。その甥の龍之介。かつて哲郎と一緒に働いていた花垣。研修医として原田病院に派遣(?)された南。その他大学病院と原田病院の各位。そして患者さんたち、で展開されます。
私がこの物語の中でいちばん好きだったシーンは田畑さんという夫婦が出てくるシーンです。妻の方が弱ってしまっていて、家で訪問医療を続けている。そして夫の方はレストランを営んでいます。昔は二人で力を揃えて営んでいたそうです。
かなり気難しい夫の方でしたが、それでも哲郎には少しだけ心を許しているような描写がありました。妻の方が死んでしまって夫が漏らした本音の中には「これまでの医者は全部自分にしか話しかけなかった。まだ妻は生きているのにまるで死んでしまったかのように妻には何も話しかけなかった。」というような内容を漏らしていました。この本音に読んでいる私自身も納得してしまうものがありました。少しズレるかもしれませんが、中学生の頃など親と病院に行くと症状など全ては親に話されるものでした。患者は私なのにな、なんて思ったこともあったなと思い返しました。だからこそ、そんな状況が当たり前になってしまっているからこそ患者は患者としてどんな状態でも患者自身に対応することができる医者というものは貴重なのだなと思います。そして自分が医者の立場であれば合理的に考えればあまり理解してくれない患者ではなくその配偶者や親にたくさん伝えたくなるもの、わかるし、自分もやってしまいそうだとも思いました。
以下私が好きだったセリフたちです。
「勝ち負けなんて、短い人生に何の意味がありますか」
哲郎と同じく原田病院で働いている秋鹿先生の言葉です。なんか刺さりました。世の中全てにやはり勝敗というものはつきもので、でも私はそれが嫌で。嫌なはずなのに人一倍勝ち負けにこだわって喜んだり、落ち込んでしまう自分がいる。そんなことを最近感じていたからでしょうか。この言葉で少なからず救われた気がします。気にしなくていいんだな、と。
「エピクロスは、平穏で物静かな精神状態を快楽と定義し、これを見出すものは、不愉快なものだけでなく、愉快なものでも遠ざけるべきだと言っている。愉快も度が過ぎれば心の安定を壊すと考えられていたらしい。もちろん彼は一般的な意味での楽しさや、身体的な快楽を否定しているわけじゃない。ただ楽しいことよりも、苦痛がないことの方がはるかに大切で、心が落ち着いていることこそが最高の快楽だと説明しているんだ。」
これは先ほども説明した、エピクロスの主張です。まさに共感、肯定って感じ。
「亡くなる瞬間に手を握って別れの声をかけてやるというのは、テレビドラマでよく見かけるシーンですが、本当に大切なことはそういうことではないと思います。亡くなるまでの時間を、つまり生きている間の時間を、どうやって寄り添いながら積み上げていくか、それが一番大事なんだと私は思っているんです」
哲郎がある患者さんを看取るときに夫にかけた言葉です。2年ほど前に私の祖父が亡くなった時に、看取り方という考え方を少し自分でも考える機会がありました。私の父は亡くなる瞬間にそばにいてやれることが大事であると考えて、少し後悔している様子でした。私はその姿を見て看取ることが大事なんだと学びました。でもそうではないと正面からこの作品では言っていて、しかも納得もできました。確かに亡くなる瞬間にどれだけの人が駆け付けても、それまでの時間をどう過ごしたかが蔑ろにされるのは解せないですしね。
「 ー 誰も彼も、遠くばかり見る世の中や。足元の花にちゃんと目を向けるんやで。」
これは今川さんという患者さんが言った言葉です。これは何だ大事そう!と思いましたね。確かに将来のキャリアや資金形成、結婚。遠くのことばかりに気を取られてしまう現代ですが、今この瞬間の時間や近くにいてくれる人、そばにある花など足元の物事こそ目を向けて認識することが大事である、と。
ってなわけで。おもろかったです!次もお願いします!